2020年度において公益財団法人JKAの機械工業振興補助事業(研究補助)「2020年度 高齢者大動脈解離の流体構造連成解析による臨床高度化を実現するシステムの研究開発と社会普及 補助事業」として研究開発を進めました。ここでの成果を情報発信します †補助事業番号 2020M-202 1 研究の概要 †本研究の実施結果としては、工学的用途で開発された流体構造連成解析システムを拡張し、大動脈解離現象の実践的な医学的分析への適用を可能にし、その解析技術を展開させるために活用講習会を企画しています。現場の医療関係者を対象に、東京と大阪での開催を予定しています。この講習会においては、研究開発で蓄積した解析技術をハンドブックにまとめてテキストとして利用する計画であり、ここで修得した解析技術を医療現場に持ち帰ることで自由に活用できる解析システムが広く展開することを狙っています。 2 研究の目的と背景 †【目的】本研究では近年著しい発展を見せている工学的数値解析技術として、流体構造連成解析に注目し、この解析システムとして研究開発と臨床活用の2つの段階を目指した、大動脈解離現象の定量的な評価システムの工学的開発と医学的検証を行い、超高齢社会での臨床応用を目指した社会実装による有効活用を実現する。 3 研究内容 †(1)大動脈解離の流体構造連成解析による臨床高度化システムの開発 【対象】超高齢社会における健康寿命を著しく阻害する要因として、高齢者の解離性胸部大動脈瘤(以下は大動脈解離)がある。この疾患は外科手術が有効であるが高齢者に対して侵襲の影響は大きく、早期治療において適切な手術時期を検討するための経過予測が不可欠であり、医工連携技術による大動脈解離現象の評価分析を必要とする。 大動脈解離の3次元メッシュモデル 流体解析の入力と出力の定義 大動脈の拡張の状態 血管内部の圧力の分布 |