DEXCS:デックスは、平成30年度において公益財団法人JKAの機械工業振興補助事業(研究補助)「平成30年度 人体と自転車との衝突事故損傷における安全性評価を実現する粒子モデル数値解析システムの実現 補助事業」として研究開発を進めました。ここでの成果を情報発信します

補助事業番号  2018M-119
補助事業名   平成30年度 人体と自転車との衝突事故損傷における安全性評価を実現する粒子モデル数値解析システムの実現 補助事業
補助事業者名  岐阜工業高等専門学校 建築学科 教授 柴田 良一

1 補助事業の概要

歩行者と自転車の衝突事故における骨折などは日常的に発生しているにも関わらず、自動車における交通事故に比べてまだ分析が十分ではなく、社会的にもその原因追求や安全対策が強く求められている。しかし人体に対する実験的な検証は不可能であり、コンピュータによる数値解析での詳細な骨折現象の再現が不可欠とされている。そこで本研究では粒子モデルによる破壊解析システムを開発し、これまで不可能であった多面的な条件に対する複雑骨折を数値解析で再現することを目的とする。これより自転車との衝突による人体の安全性評価を実現する。

(1)事業の目的と背景
【目的】
具体的な研究目的としては以下の3項目に取り組む。
1:医師らとの医工連携共同研究により、これらの現実の事故で発生するような複雑な骨折現象を解析結果と実際の症例と比較検討からツールの有用性を検証する。
2:本研究では無償で利用できるオープンソースツールを活用するための統合支援システムを開発することで、医療関係者が活用できる骨折評価システムを実現する。
3:歩行者の骨折などの怪我を防ぐために、自転車の安全対策を検討する上での定量的な評価を可能にする資料蓄積してを自転車産業の関係者に提供する。
【背景】
歩行者と自転車は多くの場面で、歩道上で近接して通行していることが多いため、接触事故や衝突事故が多発している。健康志向や環境志向を受けて今後はますます自転車の利用が活発になれば、さらに多くの事故が予想され安全対策が社会問題となっている。しかしながら人体の骨折現象については、実験的な検証が不可能であり基礎的な検討を進める上での数値解析的な手法が求められている。

(2)実施内容

【対象】
自転車は構造的に骨組で作られておりタイヤも細く線材としてモデル化可能である。また自転車は路面上の主に下半身の高さ部分に全体構造があるため、人体では脚部の大腿骨や脛骨などの線材骨格が衝突対象となる。よって自転車と歩行者とが衝突した場合には、構造解析としては交差する線材モデルの衝突破壊現象を対象とする。
【目的】
本研究では米国で防衛技術の1つとして開発されている粒子モデルの破壊解析理論であるペリダイナミクスに注目し、この中心的実装でありペリダイム解析ツールを活用して、歩行者と自転車の衝突事故における骨折現象を再現評価することで、自転車の安全性向上のためのシミュレーションシステムを実現することを目的とする。
【手法】
人体骨格の構造解析はこれまでに有限要素法を用いた取り組みが進められてきたが、この手法は連続体要素による解析であるため変形状態や応力集中や微小なひび割れ等の亀裂の基礎的な情報は得られるが、分断される完全な骨折や細かな破片に砕ける複雑骨折などに対応することは不可能であった。そこで本研究で用いる粒子モデル破壊解析ツールを活用することにより、これらの現実の事故で発生するような複雑な骨折現象を統一的に評価分析することが可能になる。
【開発】
粒子モデル破壊解析システムは、数値解析機能のみが提供されており、骨格情報から数値解析用データを作成する機能や、破壊解析の結果を医療現場で活用できるように可視化する機能がない。そこで本研究では無償で利用できるオープンソースツールを活用するための統合支援システムを開発することで、構造解析技術者でなくても医療関係者が活用できるようなシステムを実現する。
【成果】
これにより従来の事故例による骨折状態からの要因の分析だけではなく、想定される様々な衝突や接触の状態を数値解析的に再現した破壊解析の集約により、骨折などの怪我を防ぐための自転車の安全対策を検討する上での、定量的な評価を可能にする資料を提供することが可能になる。

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2 予想される事業実施効果

骨折現象の数値解析技術を含めて、医療分野においては飛躍的な高度化が求められる状況に置かれており、臨床や研究の分野を問わず新しい革新的な医療技術への展開が求められています。自転車との衝突事故における安全性の確保において数値解析のもたらす効果は非常に大きいと期待されています。
これに対して本研究開発では、無償で利用できる実践的な数値解析システムを開発し公開することにより、特に医師個人の活動のような導入費用の負担が困難な場合であっても、通常のPCさえあれば実践的な数値解析を実現できる手段を与えた効果は大きいと思います。これまでの講習会などで実感しています。
様々な医療現場の関係者に対して、無償で利用できる実践的な数値解析システムを提供することで、自転車の安全性確保のなかで新たな可能性を展開し、社会の期待に応える高い付加価値を持つ日本独自の医療技術の展開を可能にする大きな意義があります。
これにより、臨床jにおける医師においては、経験だけでなく定量的な分析を可能にし、患者の視点に立った骨折治療に有益な情報を獲得することができます。さらには自転車製造業でのより確かな安全性の確保を実現することができます。

3 補助事業に係る成果物

(1)補助事業により作成したもの
研究開発用の骨折現象数値解析システム:DEXCS-Peridigm(オープンCAEによる破壊解析)
公開システムのファイル名: DEXCS-Peridigm-Install.zip
今回は、医療関係者のとの情報交換のなかで、利用支援を含めた提供を目指しているため、インターネットでの公開ではなく、利用者からの申請に応じて配布を行う計画である。

(2)(1)以外で当事業において作成したもの
医療関係者に向けて、破壊解析の基盤となる構造解析の基礎を学ぶ教科書を出版しました。
書名:「PrePoMax」ではじめる実践構造解析  発行:工学社  ISBN:978-4-7775-2062-6
 (URL  https://www.kohgakusha.co.jp/books/detail/978-4-7775-2062-6)

本書とPCがあれば、インストールZIPパッケージを展開するだけで、だれもがPrePoMaxによる実践的構造解析が始められる内容になっています。医療現場での活用を前提として、オープンCAEを活用した構造解析を学習し、破壊解析の基礎的な知識を習得することができます。

 

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Last-modified: 2019-07-20 (土) 07:15:00 (33d)